Re:SET 想いと願いのカナタ

Re:SET 想いと願いのカナタ (GA文庫) (2009/09/15) 月島 雅也 商品詳細を見る

◆基本データ
著者：月島 雅也
イラスト：赤りんご
出版：GA文庫
初版：2009/9/15
世界観：現代、平行世界
主要人物：高校生、魔法使い、アンチ魔法使い、神
ジャンル１：恋愛
ジャンル２：バトル
キーワード：リア充、神、明るい少女、無口クール少女、ボクっ娘
対象：中高生向け、ギャルゲ好き向け

◆あらすじ（amazonより抜粋）
恋には二タイプあるそうだ。
気付いたら落ちているタイプと、出会った瞬間、一発で落ちるタイプ。
物心ついた頃から女子が苦手だった俺は、残念ながらその両方を経験することなくこの年まで来てしまった。
「陽介は女の子が苦手だからね」
傍らには、いつも通り親友の笑顔。
だが、そんな日々が、ある日突然、終わりを告げたとしたら。
「あ……あの、あんまり、胸とか、おしりとか、言わないで……はうう」
「悪いけど、私、誰とも仲良くする気はないから」
偶然がもたらした、二つの出会い。
それが意味することは、何か。
そして、解かれた想いのカナタにあるものとは――
第1回GA文庫大賞優秀賞受賞作。

◆評価
総評：不作
総点：３９
ストーリー：２
文章：４
キャラ：７
意外性：１
世界観：５
テンポのよさ：４
オリジナリティ：４
ネーミング：４
背景：５
イラスト：４
その他：第1回GA文庫大賞優秀賞受賞作

◆書評
　オビの優秀賞受賞作に惹かれて買いました。
　ＧＡ文庫だし、こんなもんですか、と思ってしまいました。これで優秀賞ってのは残念ですねー。
　最初に申しておくと、この作品はご都合主義で書かれています。「神だから」という理由で物語が進行しています。むしろ「神だから」が基盤の物語です。言わせてもらうが、「神だから」なんて理由で読者は納得できませんよ。だから、神なんて小説に登場させちゃあダメなんですよ。この作品は３つの平行世界を描いた作品ですが、平行世界がなぜできたのか、という物語の根本的部分が「神がそうしたから」で片付けられています。月真という主人公の友人がいるのですが、この人が神に願ってそうしてしまったそうです。なんだか、信じがたい話ですなあ。物語は序盤から中盤までが面白かったですね。明るい少女との恋愛をする第一章。無口クールな少女とＨする第二章。これなんてエロゲ？　そこまでの恋愛する部分はありきたりですけど、十分楽しめました。しかし、テンポがかなり悪い第三章（本の半分は占めてます）が邪魔でした。クライマックスまでグダグダしてしまい、締りの悪い物語と化しています。意味の分からない戦闘、ご都合主義な場面展開、月真は実は女だった……どれを取っても残念としか言いようがありません。月真が女だったことに関しては冒頭から予測が付きました。予想通り過ぎて、つまらないです。
　反面、キャラは好きです。御影さんがいちばんかわいいと思います。……まあ、これがいちばんギャルゲ的な展開のお話なんですけどね。御影さんと俄皇さんのメインヒロイン二人は上手く描けていました。とても好感の持てるキャラクターとして役割を果たしていたと感じます。しかし、黒幕面の男はあんまりです。描き方が稚拙すぎるゆえ、黒幕と読めてしまいます。同じ理由で月真も分かり易すぎて、オチまで上手く持っていけていません。叙述トリックでもなく、ただの神の力で男に見えるようにしていた、とありますが神の力は発揮されていないようです。つーか、絵が少なすぎんだよ！　御影のエロシーンをちゃんと描いてくださいよ……。特に獣姦のシーンは読みたいですね（ｷﾗﾘ）。最後に結ばれるのは月真なんですが、こいつはメインヒロインじゃなくてサブヒロインだろと小一時間問い詰めたいのもヤマヤマです。オチが残念。
　そういえば、姉妹が言い合うシーンはギャグ調に描かれていますが、描き方が下手なので面白くありません。ギャグ自体も意味不明です。この姉妹のキャラは必要ないと思うんですよね。最初はオジサンだったらしいのですが、ＧＡ文庫編集の一声で姉妹にしたとか。ＧＡの編集さん、未熟な作家を潰すおつもりですか。この作者さんはギャルゲーっぽい恋愛を書かせたらきっと面白いものが書ける作者さんですぞ！　王道が上手いならもっと上手くさせればいいと思います。出版業界に限らず、何か得意なことがあればそれが売りになるのですから、やっぱり長所を伸ばさないといけないです。この作者さんには普通の恋愛＋青春モノ＋熱い展開が合っていると思いますから、そちらの方をがんばっていただきたいです（ＧＡの関係者さんがこれを見たら、３日以内に５通この文面をコピペしてメールするように！）。
　ネーミングは普通ですよね。主人公・陽介で対になるように友人・月真。太陽と月ってことでＯＫ？　我皇かなでと御影瑛には対になるものは存在しませんね。太陽と影……まさかそこまで深読みしなくてもいいか……。
　イラストは綺麗ですが、４枚しかないです。少なすぎます。というか表紙絵のパズルや鳥、花束などの意味はまったくないです。打ち合わせ、ちゃんとした？

　俺がＧＡ大賞優秀賞取ってやる……。大西科学さん並に面白い作品書いてやるぞー。