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TGに入学して早二週間、僕は慣れない早起きや電車通学、新しい人間関係に悩まされながら日々の学校生活を営んでいます。モチロン勉強も努力しているつもりでしたが、テストは全ての教科が平均点以下でした。これは、やーばばばい。中間テストがこれからの学校生活を左右する天王山です。
で、す、が!
部活動にも手を出したいです。中学はバレーやっていたから高校もバレーかなっなんて思いましたけど、無理ですね。平均t(ry
それで、同類の趣味を持つ友達のO沢くんと共に『アニメ部』を見に行きました。ただ騒がしいだけの人だと思った部長さん(以下ぶっちょさん)も実は部を立て直すために奮闘しているんだということが分かりました。入部してもいいかなとは考えましたが、どうでしょうねぇ。アニメ部って。
小説、マンガ、イラストレーション、アニメーション、ゲーム作成、ゲームプレイ……。数多の活動をしようとしている、あくまで『Will』、しようとする意思だけはあるらしいです。だから、活動はしていないってこと? 無駄に幽霊部員の多いこの部で、僕の未来に何が待っているのでしょうか。
楽しそう。
面白そう。
Wktk。
希望に満ち溢れた将来に乾杯!
電車に乗り遅れそうになる僕、そうサイとは高校生さ。朝起きて六時から放送しているケロロ軍曹を見て、土曜日なのに通学する奴は黒い学生服の若人。渡る電車は黒ばかり。
大変です。
体験入部 帰宅部編
帰宅部に在籍する高校生は全体の約三割です。僕みたいな長距離通学者はなおさら帰宅部になると思うのですが、部活に力を入れるミナサマ。僕だって、家さえ近ければバレー部に入部してるやい。寮もあるんですが、距離的ギリギリアウトで入れません。高校生活に慣れてくることこそ、今学期最大の課題となる模様。
大学受験は指定校推薦で行きたいので今をがんばりたいと思います。もちろん小説家になるためだけど、小説じゃ食っていけないというのが現状です。まず、なるのは簡単ではないということ。二つ目は、継続して行ける安定な職ではないこと。肝心な三つ目は給料が決して高くないということです。これでは、僕死んじゃうかもです。だから、文章を書く仕事に就きたいと考えています。
大変ですね。
現在、コレ書いているのは0:45くらいです。あんまり夜更かしすると体調を壊してしまうので早く寝たいと思います。遅筆ながらもほそぼそとブログも更新していきたい所存であります。楽しいですけど、
大変! もう本日三回目の弱音。
それでもめげすに、おやすみなさい。
電車に乗り遅れそうになる僕、そうサイとは高校生さ。朝起きて六時から放送しているケロロ軍曹を見て、土曜日なのに通学する奴は黒い学生服の若人。渡る電車は黒ばかり。
大変です。
体験入部 帰宅部編
帰宅部に在籍する高校生は全体の約三割です。僕みたいな長距離通学者はなおさら帰宅部になると思うのですが、部活に力を入れるミナサマ。僕だって、家さえ近ければバレー部に入部してるやい。寮もあるんですが、距離的ギリギリアウトで入れません。高校生活に慣れてくることこそ、今学期最大の課題となる模様。
大学受験は指定校推薦で行きたいので今をがんばりたいと思います。もちろん小説家になるためだけど、小説じゃ食っていけないというのが現状です。まず、なるのは簡単ではないということ。二つ目は、継続して行ける安定な職ではないこと。肝心な三つ目は給料が決して高くないということです。これでは、僕死んじゃうかもです。だから、文章を書く仕事に就きたいと考えています。
大変ですね。
現在、コレ書いているのは0:45くらいです。あんまり夜更かしすると体調を壊してしまうので早く寝たいと思います。遅筆ながらもほそぼそとブログも更新していきたい所存であります。楽しいですけど、
大変! もう本日三回目の弱音。
それでもめげすに、おやすみなさい。
とうとう僕も高校生です。設備が半端ない学院はまじめそうな子ばかり。多分それは最初だけで、3日後にはみんな打ち解けて、たのしい学院生活は始まるだろう。
昨日、入学式がありました。
広い礼拝堂にて、賛美歌を歌ったりしました。アーメン。実は、もともと保育園ではカトリック教だったんですよ。だから何だと、学院はプロテスタントでした。サーセン。隣になった僕と同じ新入生と言葉を交わし、まったり帰宅。疲れました。
トュデイ、始業式アンド対面式がありました。
新しい先生は女の方が二人。一人は『先生からのあいさつ』に移るタイミングが噛み合わずあたふた。もう一人はちょー声が高い。緊張してんのかな? みんなに笑われてたぞ。あと男の先生も居たけど、知らん。
驚愕の部活見学。
アニメ部見てきました。オタクの巣窟? オタクは部長一人で他の部員が可哀想。あの人卒業したら見に行こう。来年になるけど。入部は避けます。
吹奏楽部、生徒会高等部、など。あの雰囲気は苦手。なんでPSPしてたんでしょうか、生徒会。PSP片手に
「ん、なに?」
「部活見学で来ました、サイとです。この部ではどういった活動……」
「え? 高入生? えーあー」
「先輩まだ来てないじゃん。だからー」
手続きに移りそうだったので、たまらず退散。
……明日はバレー部見に行こう。
とうとう僕も高校生です。設備が半端ない学院はまじめそうな子ばかり。多分それは最初だけで、3日後にはみんな打ち解けて、たのしい学院生活は始まるだろう。
昨日、入学式がありました。
広い礼拝堂にて、賛美歌を歌ったりしました。アーメン。実は、もともと保育園ではカトリック教だったんですよ。だから何だと、学院はプロテスタントでした。サーセン。隣になった僕と同じ新入生と言葉を交わし、まったり帰宅。疲れました。
トュデイ、始業式アンド対面式がありました。
新しい先生は女の方が二人。一人は『先生からのあいさつ』に移るタイミングが噛み合わずあたふた。もう一人はちょー声が高い。緊張してんのかな? みんなに笑われてたぞ。あと男の先生も居たけど、知らん。
驚愕の部活見学。
アニメ部見てきました。オタクの巣窟? オタクは部長一人で他の部員が可哀想。あの人卒業したら見に行こう。来年になるけど。入部は避けます。
吹奏楽部、生徒会高等部、など。あの雰囲気は苦手。なんでPSPしてたんでしょうか、生徒会。PSP片手に
「ん、なに?」
「部活見学で来ました、サイとです。この部ではどういった活動……」
「え? 高入生? えーあー」
「先輩まだ来てないじゃん。だからー」
手続きに移りそうだったので、たまらず退散。
……明日はバレー部見に行こう。
かなり勉強運動小説ブログをサボらせていただき、読書と睡眠に一週間ほど費やしました。読んだ書物は、5,6冊ほどです。
中学校の離任式もサボらせていただきました。O浪先生他、すいませんっ!!
そういえば、僕もう高校生です。高校生でいいのか僕?
朱に交われば朱に染まるでしたっけ? せいぜい高校で落ちこぼれないようしがみついたり引きずられたりするくらいを望みます。一位も捕りたいとは思いましたが、頭脳明晰そうな(……実際そうですが)新入生たちが怖いです。
文芸部を探し出して絶対入部したいと思います。ダメなら、作る。ちなみにバレー部に入部することは前提です。
筆を止めていた期間が長いため少しゆっくりペースで執筆に取り掛かっています。かぜ、恐るべし。
かなり勉強運動小説ブログをサボらせていただき、読書と睡眠に一週間ほど費やしました。読んだ書物は、5,6冊ほどです。
中学校の離任式もサボらせていただきました。O浪先生他、すいませんっ!!
そういえば、僕もう高校生です。高校生でいいのか僕?
朱に交われば朱に染まるでしたっけ? せいぜい高校で落ちこぼれないようしがみついたり引きずられたりするくらいを望みます。一位も捕りたいとは思いましたが、頭脳明晰そうな(……実際そうですが)新入生たちが怖いです。
文芸部を探し出して絶対入部したいと思います。ダメなら、作る。ちなみにバレー部に入部することは前提です。
筆を止めていた期間が長いため少しゆっくりペースで執筆に取り掛かっています。かぜ、恐るべし。
今日は少年サンデーで連載されていた漫画のアニメを見ました。
井上和郎さんの作品、『美鳥の日々』です。なんて胸が温まるのでしょうか。まるで、夢のようです。
井上さんは、『あいこら』も書いていた漫画家さんです。『あいこら』も最近終わっちゃいましたけど。
「右手が恋人なんて、萌える設定だなー。見てみっか」
どれどれ。ん? なにこの面白さ。そして最後には、ぐっときたぜよ。
この展開は、小説家志望の僕でも見習うべきです。普通の展開にいろいろなドラマをまぜこぜしてくる、そんなところがたまらなく大好きです。これを参考に何か書いてみたいものです。もちろんパクリじゃないですよ。
そして僕のこと。
最近は、家にこもってアニメやPCに明け暮れる毎日です。これって準ヒキコモリでしょうか。
好きな人がいないというのは、身体の中が空っぽみたいな感覚がするんですよ。近所の桜並木も開花してきたり、ふきのとうが生え始めたりして、春の訪れを感じさせます。しかし、周りが喜び、楽しみ、笑っていると、僕だけ何も感じないように思います。
僕も春から高校生です。期待はたくさんありますが、不安もあります。それなんかより、心に響く大きなものがなくなってしまったように感じられます。僕は一体何を感じて何を思って何を……どうすればいいのやら。
切ない?
『切ない』>>>胸がしめつけられるように‐つらい(悲しい)という意味。
『切ない』の対義語は何ですか? 胸は空っぽ、何も感じない。
青春って甘酸っぱくないんですか?
無味無臭なんですけど。
夢で楽しもうかな。
じゃあ、寝ます。
今日は少年サンデーで連載されていた漫画のアニメを見ました。
井上和郎さんの作品、『美鳥の日々』です。なんて胸が温まるのでしょうか。まるで、夢のようです。
井上さんは、『あいこら』も書いていた漫画家さんです。『あいこら』も最近終わっちゃいましたけど。
「右手が恋人なんて、萌える設定だなー。見てみっか」
どれどれ。ん? なにこの面白さ。そして最後には、ぐっときたぜよ。
この展開は、小説家志望の僕でも見習うべきです。普通の展開にいろいろなドラマをまぜこぜしてくる、そんなところがたまらなく大好きです。これを参考に何か書いてみたいものです。もちろんパクリじゃないですよ。
そして僕のこと。
最近は、家にこもってアニメやPCに明け暮れる毎日です。これって準ヒキコモリでしょうか。
好きな人がいないというのは、身体の中が空っぽみたいな感覚がするんですよ。近所の桜並木も開花してきたり、ふきのとうが生え始めたりして、春の訪れを感じさせます。しかし、周りが喜び、楽しみ、笑っていると、僕だけ何も感じないように思います。
僕も春から高校生です。期待はたくさんありますが、不安もあります。それなんかより、心に響く大きなものがなくなってしまったように感じられます。僕は一体何を感じて何を思って何を……どうすればいいのやら。
切ない?
『切ない』>>>胸がしめつけられるように‐つらい(悲しい)という意味。
『切ない』の対義語は何ですか? 胸は空っぽ、何も感じない。
青春って甘酸っぱくないんですか?
無味無臭なんですけど。
夢で楽しもうかな。
じゃあ、寝ます。
みんなに悪い気がしてただならない不安を抱えている3110です。
ここまでの執筆期間、波乱万丈でした。
波乱万丈その壱!
彼女に告白してきました。訂正。告白しようとしました。
ナニカ「言わないで」という、雰囲気で「さらばだ」を連呼する彼女。言おうと思ったが言えなくて、あえなく雲散霧消。
きっと彼女は僕を友達以上とは思ってないんです。だから、彼女が僕を振って、悲しませたくないとかぎくしゃくしたくないとか、少なくとも僕を気遣っての行為だったと思います。ですが、それくらいで僕は悲しんだりしないから。
たぶん、これからの人生、僕は彼女より心優しい人を見つけられるか不安です。
波乱万丈その弐!
T学院高校の学校説明会に参加してきました。
とても広い学校で、校門には門番がいました。校門を抜けて下駄箱までが長い長い。ハヤテのごとくの白皇学院みたいに広い道を歩いていくのです。それで、礼拝堂で先生方のありがたいお話、約一時間。教室まで移動だ、やっほい! 尻が痛い。
僕の教室は、九クラスまであるなかで八クラス目です。クラスナンバーをアルファベットで言うそうで、クラスは『H』です。番号は18番になりました。
……H組の18番。なんか、僕にはまだ早いような気がしますが。
波乱万丈その参!
リレー小説を書いたんです。
内容はコチラ。
http://ikagayasaito.blog.shinobi.jp/Entry/27/
ちなみにその前に書いてくださった人々の作品はコチラ。
http://tree.ziyu.net/index.cgi?id=pb4tdta5
この掲示板は僕が管理しているので、なにか問題や良案がありましたらカキコしてください。
みんなに悪い気がしてただならない不安を抱えている3110です。
ここまでの執筆期間、波乱万丈でした。
波乱万丈その壱!
彼女に告白してきました。訂正。告白しようとしました。
ナニカ「言わないで」という、雰囲気で「さらばだ」を連呼する彼女。言おうと思ったが言えなくて、あえなく雲散霧消。
きっと彼女は僕を友達以上とは思ってないんです。だから、彼女が僕を振って、悲しませたくないとかぎくしゃくしたくないとか、少なくとも僕を気遣っての行為だったと思います。ですが、それくらいで僕は悲しんだりしないから。
たぶん、これからの人生、僕は彼女より心優しい人を見つけられるか不安です。
波乱万丈その弐!
T学院高校の学校説明会に参加してきました。
とても広い学校で、校門には門番がいました。校門を抜けて下駄箱までが長い長い。ハヤテのごとくの白皇学院みたいに広い道を歩いていくのです。それで、礼拝堂で先生方のありがたいお話、約一時間。教室まで移動だ、やっほい! 尻が痛い。
僕の教室は、九クラスまであるなかで八クラス目です。クラスナンバーをアルファベットで言うそうで、クラスは『H』です。番号は18番になりました。
……H組の18番。なんか、僕にはまだ早いような気がしますが。
波乱万丈その参!
リレー小説を書いたんです。
内容はコチラ。
http://ikagayasaito.blog.shinobi.jp/Entry/27/
ちなみにその前に書いてくださった人々の作品はコチラ。
http://tree.ziyu.net/index.cgi?id=pb4tdta5
この掲示板は僕が管理しているので、なにか問題や良案がありましたらカキコしてください。
三六〇度みわたすかぎりの青、蒼、碧。
くま並に大男な船長が溺愛するフェリー〈ちゅらかーぎー〉でゆられること約三時間、俺たち新堂学園一同は紺碧の海に浮かぶ巴島に上陸した。島のほとんどが青々とした天然林で、蒼空の下には星の砂があるビーチや、断崖絶壁に流刑されたそうりょの怨念が込められたほら穴もある。アヴァンチュールどころか、命がけの大冒険ができそうだ。
もちろん、命がけの大冒険などはだれものぞまず、少なくともレイ以外に平穏な宿泊学習が幕をあけた。
「レイちゃんっ、日焼け止めクリーム塗らなきゃ!」
「い、いいよぉ〜。あかり、やっあっ、くすぐったいって、なんでさっきから足のうらばっかり! ……ひゃっ」
「むぐー……レイちゃん、意外とムネおっきい」
背中からぐるりと手を回して、現在女になった俺のムネをもみ始める。あかりのホルターネックでも分かる大きめなそれが背中に当たっていて、俺はからりとした暑さなのにじわじわ流汗。この前の一件いらい、あかりとはよく話をするのだが、どうやら今日はトコナツのバカンスでハイテンションらしい。そうだと俺は信じたい。
「こらこら、あかり。レイの夫にもうしわけないでしょ」
一緒にいた別の女の子が俺の一命をとりとめる。半分くらいなにか失った気はしたが。
あかりはごめんごめんとあやまりながら、にやにやしている。
というか、夫って誰よ。
「もう、鈍感なんだから(堤防の方にゆびさすあかり)」
ゆびさした先の堤防にたたずむ影は、今しがた俺を助けたますらお、甲賀だった。俺は甲賀と数秒目が合ってしまったが、甲賀はガンをとばすわけでもなく、ただ決まりが悪そうにうつむく。甲賀のやけに大きいネックレスが灼熱の日輪に輝いた。
「ねっ?」
『ねっ?』じゃねえ。甲賀は男だぞ。あ、今の俺は女だからいいのか。いや、そんな問題じゃない。
俺は旅行前に兄貴からもらったビキニ(兄貴のではないハズ)を着用している。どうしてこの水着は、こんなに面積がせまいんだ。これではかくすべきところがかくし切れないじゃないか。
「あのさ、あかり? 私、泳がないでシャツ着てまってるから、日焼けクリームいらないんだ。だから、みんなで泳いできていいよ」
「そっかぁ、愛しのダーリンと新婚旅行か」
「だ、ダーリンって! そんなんじゃないってば!」
「はいはい、お幸せに〜」
一番幸せなのは、お前らだろ。とは、言わないでおいた。
少し大きめのTシャツを着て、俺はパラソルの日陰から海であそぶ同級生をながめる。海に流される確率一〇〇パーセントの水着なんて……まさか、グラビア撮影用か?
俺はそそくさとひとけのないところへ亡命したのだった。
大きく生長した天然林は激しい日差しをやわらかい木漏れ日に変え、散歩には丁度いい。やさしいそよ風に力強く伸びた夏草がゆられ、俺はあふれる緑の香りをしんこきゅう。伝わるものは手つかずの自然がもつ生々しい命、広漠たる心。
「もう、女のままでもいいかぁ」
無意識に心の声がこぼれる。
「ほんとに、女のままの方がいいなー」
ああ、俺もほんとにそう思うよ。俺も、だと?
突然、じんせん風が目の前に発生し、土や落ち葉を舞い上げる。舞い上がったそれらは、おもに俺の頭に降りつもる。落ち葉降る先、低身長な人影。
「兄、貴……?」
「ハーィ、レイ。ほら、カメラカメラ」
じんせん風から現れたそいつは、下半身を土にうもれさせ、「ラブアンドピース」と一眼レフかまえてつぶやいていた。
私立新堂学園の校長であり、俺の兄である伊藤智樹は〈伊藤家の嘱託〉でもある。ちなみに〈伊藤家の嘱託〉とは、魔法を使ったアルバイターのことだ。魔法を使える血筋を持つのは伊藤家しか知らないが、たぶん他にもいるんだろう。智樹は学校の校長をアルバイトしている。でも、俺は少女にならないと魔法が使えないから、伊藤家なのにアルバイトができない。俺はいわゆるデキソコナイだった。
兄貴は地面から足を引きぬいて、俺の体を上から目線でしげしげと眺める。
「転送魔法、しっぱいしっぱい。ところで似合ってるぞ、俺の水着」
「あ、ありがと」
それでも〈伊藤家の嘱託〉なのか――って、この水着、兄貴のだったのか!? なに、しおらしい返事してんの俺?
「全く、ケータイ壊すなんてどじっ娘だね。おかげでこっちは、大混乱だよ」
「……こっち?」
「いやいや、こっちの話」
「……こっち?」
「いやいや、こっちの話」
俺、生きて帰れるかな。
唖然して、遠くに目をやるとそこには甲賀の姿。もし、甲賀が兄貴に見つかればだたではすまない。それに、兄貴が手駒探しをしていることもわすれちゃいけない。なんとかせねばっ。
俺は兄貴のそばに駆け寄り、厚いむないたに身体を任せて、
「お兄ちゃん、私、私ね。お兄ちゃんの、およめになりたいの……」
甘い声で言うと、兄貴は動揺したようで心臓の高鳴りや荒い鼻息、一眼レフまで地面に落とした。
名づけて〈ギャルゲー主人公作戦・智樹タイプ〉! これで、甲賀のことは兄貴に見つからない。おまけに、兄貴の嗜好まではあくできるという一石二鳥。これからは、軍師レイと呼ぶがいい。
「レイ、僕もキミをおよめにしたい。けど――」
兄貴は、一眼レフを離して空いた両手で俺を抱きしめる。俺は兄貴の左手を背中で強く這わせるような感覚に、自身の顔が青ざめるように感じた。これでは、見てしまった甲賀も気落ちするかも知れない。なにより、これはスキャンダルなのだろうから。
「――隠し事はイケナイと思うよ。レイちゃんっ?」
背中に回されただけの兄貴の右手が細かく動き、
「アムネ・マリアーレ」
つぶやき終えた一刹那。
俺から向かって右側、空を切る音とともにあおむらさきのビームが茂みの向こうの甲賀を射る。
甲賀っ……!
俺は目を閉じて心の中で甲賀の回想シーンに突入していたが、甲賀が倒れる様子もなくなにごともなかったように去っていった。それから、もう一度兄貴が抱きしめようとするからアッパーカットをぶちこんだ。さて、どうして兄貴の魔法は呪文だけで発動できるのか小一時間問い詰めたい。
「どうやら、奴は対魔法の道具をもっているらしい……。僕の催眠魔法がはね返された」
対魔法の道具じゃなくて、あのギンギラギンのネックレスではね返っただけじゃないか? もし、対魔法の道具をもっていたら、俺の〈時間を止める魔法〉から脱出できるだろうからな。
そのあと、ぶつぶつなとなにかつぶやきながら兄貴もこの場を去った。なにしに来たんだ、あいつ?
「戻るとするか」
木々たちがよからぬ予想をささやきあうように、夕風にゆれていた。
三六〇度みわたすかぎりの青、蒼、碧。
くま並に大男な船長が溺愛するフェリー〈ちゅらかーぎー〉でゆられること約三時間、俺たち新堂学園一同は紺碧の海に浮かぶ巴島に上陸した。島のほとんどが青々とした天然林で、蒼空の下には星の砂があるビーチや、断崖絶壁に流刑されたそうりょの怨念が込められたほら穴もある。アヴァンチュールどころか、命がけの大冒険ができそうだ。
もちろん、命がけの大冒険などはだれものぞまず、少なくともレイ以外に平穏な宿泊学習が幕をあけた。
「レイちゃんっ、日焼け止めクリーム塗らなきゃ!」
「い、いいよぉ~。あかり、やっあっ、くすぐったいって、なんでさっきから足のうらばっかり! ……ひゃっ」
「むぐー……レイちゃん、意外とムネおっきい」
背中からぐるりと手を回して、現在女になった俺のムネをもみ始める。あかりのホルターネックでも分かる大きめなそれが背中に当たっていて、俺はからりとした暑さなのにじわじわ流汗。この前の一件いらい、あかりとはよく話をするのだが、どうやら今日はトコナツのバカンスでハイテンションらしい。そうだと俺は信じたい。
「こらこら、あかり。レイの夫にもうしわけないでしょ」
一緒にいた別の女の子が俺の一命をとりとめる。半分くらいなにか失った気はしたが。
あかりはごめんごめんとあやまりながら、にやにやしている。
というか、夫って誰よ。
「もう、鈍感なんだから(堤防の方にゆびさすあかり)」
ゆびさした先の堤防にたたずむ影は、今しがた俺を助けたますらお、甲賀だった。俺は甲賀と数秒目が合ってしまったが、甲賀はガンをとばすわけでもなく、ただ決まりが悪そうにうつむく。甲賀のやけに大きいネックレスが灼熱の日輪に輝いた。
「ねっ?」
『ねっ?』じゃねえ。甲賀は男だぞ。あ、今の俺は女だからいいのか。いや、そんな問題じゃない。
俺は旅行前に兄貴からもらったビキニ(兄貴のではないハズ)を着用している。どうしてこの水着は、こんなに面積がせまいんだ。これではかくすべきところがかくし切れないじゃないか。
「あのさ、あかり? 私、泳がないでシャツ着てまってるから、日焼けクリームいらないんだ。だから、みんなで泳いできていいよ」
「そっかぁ、愛しのダーリンと新婚旅行か」
「だ、ダーリンって! そんなんじゃないってば!」
「はいはい、お幸せに~」
一番幸せなのは、お前らだろ。とは、言わないでおいた。
少し大きめのTシャツを着て、俺はパラソルの日陰から海であそぶ同級生をながめる。海に流される確率一〇〇パーセントの水着なんて……まさか、グラビア撮影用か?
俺はそそくさとひとけのないところへ亡命したのだった。
大きく生長した天然林は激しい日差しをやわらかい木漏れ日に変え、散歩には丁度いい。やさしいそよ風に力強く伸びた夏草がゆられ、俺はあふれる緑の香りをしんこきゅう。伝わるものは手つかずの自然がもつ生々しい命、広漠たる心。
「もう、女のままでもいいかぁ」
無意識に心の声がこぼれる。
「ほんとに、女のままの方がいいなー」
ああ、俺もほんとにそう思うよ。俺も、だと?
突然、じんせん風が目の前に発生し、土や落ち葉を舞い上げる。舞い上がったそれらは、おもに俺の頭に降りつもる。落ち葉降る先、低身長な人影。
「兄、貴……?」
「ハーィ、レイ。ほら、カメラカメラ」
じんせん風から現れたそいつは、下半身を土にうもれさせ、「ラブアンドピース」と一眼レフかまえてつぶやいていた。
私立新堂学園の校長であり、俺の兄である伊藤智樹は〈伊藤家の嘱託〉でもある。ちなみに〈伊藤家の嘱託〉とは、魔法を使ったアルバイターのことだ。魔法を使える血筋を持つのは伊藤家しか知らないが、たぶん他にもいるんだろう。智樹は学校の校長をアルバイトしている。でも、俺は少女にならないと魔法が使えないから、伊藤家なのにアルバイトができない。俺はいわゆるデキソコナイだった。
兄貴は地面から足を引きぬいて、俺の体を上から目線でしげしげと眺める。
「転送魔法、しっぱいしっぱい。ところで似合ってるぞ、俺の水着」
「あ、ありがと」
それでも〈伊藤家の嘱託〉なのか――って、この水着、兄貴のだったのか!? なに、しおらしい返事してんの俺?
「全く、ケータイ壊すなんてどじっ娘だね。おかげでこっちは、大混乱だよ」
「……こっち?」
「いやいや、こっちの話」
「……こっち?」
「いやいや、こっちの話」
俺、生きて帰れるかな。
唖然して、遠くに目をやるとそこには甲賀の姿。もし、甲賀が兄貴に見つかればだたではすまない。それに、兄貴が手駒探しをしていることもわすれちゃいけない。なんとかせねばっ。
俺は兄貴のそばに駆け寄り、厚いむないたに身体を任せて、
「お兄ちゃん、私、私ね。お兄ちゃんの、およめになりたいの……」
甘い声で言うと、兄貴は動揺したようで心臓の高鳴りや荒い鼻息、一眼レフまで地面に落とした。
名づけて〈ギャルゲー主人公作戦・智樹タイプ〉! これで、甲賀のことは兄貴に見つからない。おまけに、兄貴の嗜好まではあくできるという一石二鳥。これからは、軍師レイと呼ぶがいい。
「レイ、僕もキミをおよめにしたい。けど――」
兄貴は、一眼レフを離して空いた両手で俺を抱きしめる。俺は兄貴の左手を背中で強く這わせるような感覚に、自身の顔が青ざめるように感じた。これでは、見てしまった甲賀も気落ちするかも知れない。なにより、これはスキャンダルなのだろうから。
「――隠し事はイケナイと思うよ。レイちゃんっ?」
背中に回されただけの兄貴の右手が細かく動き、
「アムネ・マリアーレ」
つぶやき終えた一刹那。
俺から向かって右側、空を切る音とともにあおむらさきのビームが茂みの向こうの甲賀を射る。
甲賀っ……!
俺は目を閉じて心の中で甲賀の回想シーンに突入していたが、甲賀が倒れる様子もなくなにごともなかったように去っていった。それから、もう一度兄貴が抱きしめようとするからアッパーカットをぶちこんだ。さて、どうして兄貴の魔法は呪文だけで発動できるのか小一時間問い詰めたい。
「どうやら、奴は対魔法の道具をもっているらしい……。僕の催眠魔法がはね返された」
対魔法の道具じゃなくて、あのギンギラギンのネックレスではね返っただけじゃないか? もし、対魔法の道具をもっていたら、俺の〈時間を止める魔法〉から脱出できるだろうからな。
そのあと、ぶつぶつなとなにかつぶやきながら兄貴もこの場を去った。なにしに来たんだ、あいつ?
「戻るとするか」
木々たちがよからぬ予想をささやきあうように、夕風にゆれていた。
一年 如何屋 サイと
今日僕は、シゴフミ全巻を読み終えました。二〇〇六年一〇月二五日発刊のシゴフミ初版を買い求め、日々読み尽くしていったこの一年半、感動を沸かせてくれました。
思えば、モェ表紙に惹かれ、シュプルのお話の雨宮さんの作品で、レジに持っていったのが始まりです。
……ふぅ、読書感想文はつかれるです。
書評というのでしょうか、僕はそういったものが苦手です。苦手だと思うから、苦手になるんだと思います。なので苦手と思わず、がんばりたいです。
一番驚いたのは、第一話の叙述トリックです。ネタバレになるので詳しくは語りませんが、やられた〜みたいになって爽快でした。
あとは、アニメとリンクしていたこと。
雨宮さんの物語は、僕が好む文体でした。雨宮さんのような小説家になりたいと思います。
一年 如何屋 サイと
今日僕は、シゴフミ全巻を読み終えました。二〇〇六年一〇月二五日発刊のシゴフミ初版を買い求め、日々読み尽くしていったこの一年半、感動を沸かせてくれました。
思えば、モェ表紙に惹かれ、シュプルのお話の雨宮さんの作品で、レジに持っていったのが始まりです。
……ふぅ、読書感想文はつかれるです。
書評というのでしょうか、僕はそういったものが苦手です。苦手だと思うから、苦手になるんだと思います。なので苦手と思わず、がんばりたいです。
一番驚いたのは、第一話の叙述トリックです。ネタバレになるので詳しくは語りませんが、やられた~みたいになって爽快でした。
あとは、アニメとリンクしていたこと。
雨宮さんの物語は、僕が好む文体でした。雨宮さんのような小説家になりたいと思います。