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グリーン・レクイエム (講談社文庫) (1983/10) 新井 素子 商品詳細を見る |
◆基本データ
著者:新井 素子
イラスト:なし
出版:講談社
初版:1983/10/15
世界観:現代
ジャンル1:恋愛
ジャンル2:SF
◆あらすじ(wikipediaより抜粋)
嶋村信彦は、大学の研究室で植物学者の松崎の助手をしている25歳の青年。そんな彼が長い髪を持った22歳の女性・三沢明日香に恋心を抱くようになる。だが、彼女の本当の髪の色は緑色だった。それを知った松崎は彼女が彼が長年捜し求めていた「緑色の髪の人間」である事に気付いて研究材料として施設に監禁してしまう。激怒した信彦は明日香を連れて逃げ出すが、明日香の体には地球の運命すら左右する重大な秘密が隠されていた。
彼女の正体は、地球で生き延びる為に地球人の姿になった、植物系の異星人である。地球人と違って髪の中に含まれた葉緑体による光合成によって生命活動が可能である。そのため、動物のような他者(植物及び他の動物)を捕食して生命活動を維持する生命体が存在するという事実そのものに強い拒絶反応を持つ者もいる。また、異星人と接触した植物はその影響を受けて自らの意思を持つようになり、自らを捕食しようとする動物に対して自己防衛本能を発揮するようになる。それは地球の植物においても例外ではない。
◆評価
総評:凡作
総点:60
ストーリー:6
文章:5
キャラ:5
意外性:6
世界観:6
テンポのよさ:6
オリジナリティ:7
ネーミング:6
背景:7
イラスト:6
その他:一般文芸
◆書評
新井素子さんの作品はこれが初読みです。
買ってから気づいたのですが、中に三編の作品が入っていました。短編集ですね。書評もひとつずつしていきます。
この本を買ったきっかけは以前、俺が書いた小説がこの作品に似ていると言われたためでした。他作品と被っているっていうのは、ものかきであればだれでもがっくりくると思います。読書中に「ここが似てる」「あ、ここもだ」「うわ、ここもかよ……」と立て続けに似ている部分を発見し苦い読書でした。
新井さんは有川浩さんの空の中の解説文を書いていました。それが新井さんの文章を初めて読んだ作品です。
では、一編目の「グリーン・レクイエム」から。
主人公信彦が好きになった相手は宇宙からやってきた植物系異星人という設定。題材はSFですが、話の内容は至って恋愛趣向です。物語の後半は愛の逃避行ですから、SF小説というよりは恋愛小説という位置づけでもそう間違いではないでしょう。ですが、昨今のライトノベルに見られるサブジャンルとしてのSF的設定ではなく、SF設定が基盤となって恋愛しているのでどちらかといえばSF小説なのかもしれません。そういった作風だから、ライトノベル作家の元祖とも呼ばれるようです。
作品は30年ほど昔に執筆されましたが、古い感じはまったくしませんでした。ライトノベルらしいので、ライトノベル以外が苦手という人もすんなり読めると思います。
この作品は星雲賞を受賞しているということでかなりの名誉と知名度を誇ります……、かどうかは知らないのですが、確かに星雲賞受賞作なのでそれなりの期待を寄せてもおかしくはありません、よね? (星雲賞はフリーダム過ぎて、良し悪しの判断がつかない)
ストーリーは(……やっと本題に入りました)よい発想だとは思いましたが、引き込まれるほどの衝撃や展開ではありませんでした。普通、という感想です。ですが、物事をあらゆることに関連付けてどんなに小さく些細なことでも、大きな話の流れに自然と組み込まれている作りは、素朴に作者の技量を感じ取れました。
二編目「週に一度のお食事を」
人間の血だけしか吸えない吸血鬼が大陸以外に増えてしまう物語。日本が吸血鬼ばかりになってしまったら、食糧不足(人間の生きた血液)に陥り自滅するでしょう、と絶望的な予測を最後に持ってきて終わります。
それだけ、なんですよね。ページ数も15ページほどしかありません。それでいて、内容は洗練されていて、さらっと読み終えさらっと恐怖感を抱く、まさにライトノベルらしい作品でした。こちらも恋愛は絡んでいますが、三編唯一恋愛メインではないですね。
三編目「宇宙魚顚末記」
なんて読むのだろうか。あとがきにも本編にも書かれていません。
巨大グッピー(?)が地球を食べる話です。嘘ではありませんが、物語は設定がいくつもあって説明するのが面倒です(ォィ)。大きく解説すると、3つの願い事のうち、2つ目で地球が滅んでしまえばいいと願ってしまった、さあ大変……という物語です。オチは、滅ばせる原因の消滅条件が地球を滅ぼすことだったので、3つ目のお願いでもうひとつの地球を作りましょう、……ハッピーエンドちゃんちゃん♪
SFじゃなくて、ファンタジーじゃなかろうか。
こういった物語であってもメインは恋愛です。しかも、大人の恋愛(のようなもの)でした。俺は大人の恋愛が分からないのでなんとも言えませんが、別にこれは中高生にもあって不思議と思われないレベルの恋愛だと思います(どんなレベルだ)。語り手は小説家志望のニートです。しかも思うように書けないでいる小説家志望、とタチが悪い。面白い物語でした。
全編読んで
さらりと読める良くも悪くもない小説だと思いました。
新井素子さんの作品はこれが初読みです。
買ってから気づいたのですが、中に三編の作品が入っていました。短編集ですね。書評もひとつずつしていきます。
この本を買ったきっかけは以前、俺が書いた小説がこの作品に似ていると言われたためでした。他作品と被っているっていうのは、ものかきであればだれでもがっくりくると思います。読書中に「ここが似てる」「あ、ここもだ」「うわ、ここもかよ……」と立て続けに似ている部分を発見し苦い読書でした。
新井さんは有川浩さんの空の中の解説文を書いていました。それが新井さんの文章を初めて読んだ作品です。
では、一編目の「グリーン・レクイエム」から。
主人公信彦が好きになった相手は宇宙からやってきた植物系異星人という設定。題材はSFですが、話の内容は至って恋愛趣向です。物語の後半は愛の逃避行ですから、SF小説というよりは恋愛小説という位置づけでもそう間違いではないでしょう。ですが、昨今のライトノベルに見られるサブジャンルとしてのSF的設定ではなく、SF設定が基盤となって恋愛しているのでどちらかといえばSF小説なのかもしれません。そういった作風だから、ライトノベル作家の元祖とも呼ばれるようです。
作品は30年ほど昔に執筆されましたが、古い感じはまったくしませんでした。ライトノベルらしいので、ライトノベル以外が苦手という人もすんなり読めると思います。
この作品は星雲賞を受賞しているということでかなりの名誉と知名度を誇ります……、かどうかは知らないのですが、確かに星雲賞受賞作なのでそれなりの期待を寄せてもおかしくはありません、よね? (星雲賞はフリーダム過ぎて、良し悪しの判断がつかない)
ストーリーは(……やっと本題に入りました)よい発想だとは思いましたが、引き込まれるほどの衝撃や展開ではありませんでした。普通、という感想です。ですが、物事をあらゆることに関連付けてどんなに小さく些細なことでも、大きな話の流れに自然と組み込まれている作りは、素朴に作者の技量を感じ取れました。
二編目「週に一度のお食事を」
人間の血だけしか吸えない吸血鬼が大陸以外に増えてしまう物語。日本が吸血鬼ばかりになってしまったら、食糧不足(人間の生きた血液)に陥り自滅するでしょう、と絶望的な予測を最後に持ってきて終わります。
それだけ、なんですよね。ページ数も15ページほどしかありません。それでいて、内容は洗練されていて、さらっと読み終えさらっと恐怖感を抱く、まさにライトノベルらしい作品でした。こちらも恋愛は絡んでいますが、三編唯一恋愛メインではないですね。
三編目「宇宙魚顚末記」
なんて読むのだろうか。あとがきにも本編にも書かれていません。
巨大グッピー(?)が地球を食べる話です。嘘ではありませんが、物語は設定がいくつもあって説明するのが面倒です(ォィ)。大きく解説すると、3つの願い事のうち、2つ目で地球が滅んでしまえばいいと願ってしまった、さあ大変……という物語です。オチは、滅ばせる原因の消滅条件が地球を滅ぼすことだったので、3つ目のお願いでもうひとつの地球を作りましょう、……ハッピーエンドちゃんちゃん♪
SFじゃなくて、ファンタジーじゃなかろうか。
こういった物語であってもメインは恋愛です。しかも、大人の恋愛(のようなもの)でした。俺は大人の恋愛が分からないのでなんとも言えませんが、別にこれは中高生にもあって不思議と思われないレベルの恋愛だと思います(どんなレベルだ)。語り手は小説家志望のニートです。しかも思うように書けないでいる小説家志望、とタチが悪い。面白い物語でした。
全編読んで
さらりと読める良くも悪くもない小説だと思いました。
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