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空とタマ―Autumn Sky,Spring Fly (富士見ミステリー文庫)空とタマ―Autumn Sky,Spring Fly (富士見ミステリー文庫)
(2006/07)
鈴木 大輔

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◆基本データ
著者:鈴木 大輔
イラスト:原健人
出版:富士見ミステリー文庫
初版:2006/07
世界観:現代、中学生
主要人物:中学生、謎の女の子
ジャンル1:青春劇
ジャンル2:ノスタルジー
キーワード:田舎、家出、倉庫、生き方
対象:大人向け

◆あらすじ(amazonより抜粋)
秋は家出の季節である。7回目の家出を決行したオレ、天野空が避難先に選んだのは、田んぼのそばにぽつんと立つ廃倉庫。ダレも来ない秘密の場所だ。あの日、あそこでオレはタマと出会った。倉庫に着いたオレは、いつものように「わかば」を取り出し、いつものように煙をふかした。「まだ中学生なのに」とか「健康に悪い」とかいった、大人たちのリクツは気にしない。だが、この日、想定外の事件が起きた。誰もいないはずの廃倉庫に先客がいたのだ。上階に陣どり姿を見せないそいつは、ふざけたことに人気アーティスト「青井春子」の名を騙る。その上さらに、オレのタバコに難癖までつけてきたのだ。ムカつくのでオレはヤツを「タマ」と呼ぶことにした―。オレとタマと廃倉庫。かくして、オレたちの未来を大きく変える攻防戦は始まった。

◆評価
総評:惜作
総点:52
ストーリー:7
文章:4
キャラ:5
意外性:6
世界観:6
テンポのよさ:5
オリジナリティ:7
ネーミング:6
背景:4
イラスト:0
その他:イラスト要らん
◆書評
 まずはじめに言おう。
 イラスト要らん。
 この物語はタマと呼ばれる子の正体を突き止める物語だ。それなのに挿絵、ひいては表紙絵からタマが誰なのかバラしている。表紙に美少女を持ってくることには反対しないが、それで小説の質を落とすようであれば無理に美少女の表紙にして欲しくないね。せめて正体がばれてから挿絵を入れても良かったけど、最後にだけ挿絵を入れるってのも変だし、イラストは必要ない小説だったと思いますよ。
 まず、あらすじの「青井春子」を登場させたのもマズかった。数少ない文章でアーティストという世間一般から離れた存在を出したら否が応でも目立ってしまう。これで悪目立ちしているんだから、あとはタマが「青井春子」というアーティストなんだなって分かってしまう。楽しみが半減だね!
 内容自体はかなり良かった。ミステリーという枠だけではなく、ノスタルジックで懐かしさを感じさせてくれる。昔、俺もこんなことしたなあってことが主人公であり語り部の空から伝わってくる。家出なんてせいぜい中学生くらいまでだ。
 家出を扱った作品としては村上春樹の「海辺のカフカ」やアメリカ映画の「スタンド・バイ・ミー」あたりが有名どこだろう。これらの作品に共通して、家出は何かの殻を破って自立したいという気持ちの表れから生じる行動なのだと思う。俺も実は家出したことがあるが、近くの山の防空壕で一晩過ごして、家に帰ったら親に怒られた記憶しかないなあ。途中、おばさんに煎餅もらったっけ。つまりは、自分を変えようとする心の生理作用を描いているといいたいのだ。それをうまく少女との喧嘩と絡めて表現したのが「空とタマ」である。
 内容はひどく単純です。家出した非行少年と謎の人が自分の居場所を巡って対決をして、和解するだけ。そこには会話があり、相手を知ることで自分の生き方を知ることが隠されています。
 空の話が異様に長いです。俺はここで眠くなった。だが読んだ。タマの反応が変わったのでおおむねよしとしようかと思ったが、さすがにこんな長い文章は要らないと感じました。もっと短くても良かったんじゃ、と。ですが、長いのは今後の話を知るために必要なことなので。
 今後の話というのはタマが青井春子で歌手でもうすぐ死ぬということです。つまり、タマは倉庫で自殺をしようとしていたのです。それを空に会って、自殺を未遂のままにして、死ぬために喧嘩を始めました。でも、話をするにつれて死にたくない気持ちが強まり、自殺をあきらめます。ここに到るまで、長い話は必要だったのです。
 最後の手紙のシーンにおいて、がんばれと祈るだけだったのは中学生だと自覚した上でのことだと思います。自分は変われる、そう思っての家出と前記しましたが、これは内心が変わるだけで自分が強くなったり大きくなったりするわけではないということを暗に提示したのだと思います。中学生じゃなにもできない。それを自覚する。大人になった人から見れば、それを知らぬうちに自覚しているのだと思うが、この作品はその線引きを家出というアクションで明確に線引きをしていました。
 中高生の俺は少し難しいと感じるんですね。話に躍動感とか物語的な面白みは少ないですから。ただ内面に訴えてくる懐かしさと思い出に思い耽るだけです。
 また小説的技術面でも言及しておくと、文章は少々一人称が懲りすぎて読みにくい。世界観も判然としないわけではないが、10年ぐらい前のイメージを強く感じます。作者はご愁傷さま二ノ宮くんの作者なのですが、あれアニメ見たけど面白くないのね。だからそれほど今作には期待を寄せていませんでした。まあ結果、微妙だったんですけど。
 特には言うことがないけど、イラストまじ要らん。だが、かわいいから許す。

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